「よく聞くホールディングスって何?」
「会社経営について学びたい」
「関井圭一氏の人物像を知りたい」

「ホールディングス」とは、持つ(ホールド)という英語が元になっており、一般的には持株会社を意味します。
持株会社は、グループ企業に関係する事業を実施している事業持株会社と、完全に子会社グループの事業を管理する部門として存在している純粋持株会社とに分けることができると関井圭一氏は言います。

参考:関井圭一

ホールディングスとは?関井圭一氏に聞く

ホールディングスとは後者の純粋持株会社に該当する組織です。
一般的に営利企業である株式会社は、ある程度の規模にまで成長した段階で、さまざまな事業部が開設されていることが通常です。

例としてはマーケティングに関する事業部や、商品開発の事業部、金融に関する部門など、会社の規模が大きくなるにつれて、専門の事業部署が増えてくることになり、各組織の肥大化が会社本体の意思決定を遅らせるというデメリットの部分が目立つようになってきます。

これが小規模の企業であれば、社長の意思決定が各事業部の運営について一定の即応性を有するものの、グローバル化や多角経営化が進んでいくことによって、各部署部門との調整がきわめて複雑化していきます。

このようなデメリットは事業運営のスピード化やスリム化という観点に特にマイナスの部分として反映されます。
社会の変化に素早く対応し、営業利益を確保するためには意思決定機関のスリム化が必要とされます。

そこで各事業所について独立した会社組織として、それぞれの運営方針を定めながら業務を推進し、グループ全体での歩調を合わせていくという会社組織の運営が一般化しました。

つまりホールディングスは、大元として分社化した各事業部の企業グループを統括する組織として存在しているということが分かります。
純粋持株会社の傘下に存在している子会社においては、株式をホールディングスが有することによって実質的な経営管理を委ねるという組織運営となります。

営業利益の分散化や投資の集中化を図ることができる

もちろん組織上は別会社となり、それぞれを独立採算とすることで、営業利益の分散化や投資の集中化を図ることができるようになります。
リスク分散家の観点からもホールディングスは理にかなっていると言え、子会社の一部の経営が悪化した場合でも企業グループ全体の業績悪化や倒産といった事態を防ぎ、損失を最小限に留めるということも可能です。

つまり経営の効率化と事業利益の最大化、リスクの最小化を推進するにあたって、たいへん都合が良い企業グループの形態と言えるでしょう。
経営戦略の明確化にも有利であり、グループ企業全体の営業利益を確保することをグループ一丸となって目指せるという経営スタイルとすることができます。


出典元:http://www.yb-jinji.com/newgra-7i.htmlより

グループ内の企業が赤字を計上した場合であってもグループの別の企業の黒字分との相殺をするということも可能となり、税金の負担分も節約できるというメリットもあります。

親会社である持株会社の株は、一般的に取引がされていない非公開株としている例が多いこともあり、敵対的買収を防ぐという企業本体を防衛するという観点からも重要なメリットと考えることが可能です。

それらのような企業側にとって大きなメリットがありますが前述のように税金負担の観点や、戦前のコンツェルン(巨大財閥)のような過度に経済活動が一部の企業グループに集中することによる弊害を防ぐ観点、独占禁止法の制定などから、長く日本においては持株会社の設立や既存の企業の持株会社化が禁止されていました。

それが解禁されたのが1997年(平成9年)です。
金融ビッグバンの一環としてこの改革が実行に移されました。

現在は会社として存在していませんが、戦後日本の純粋持株会社の第一号は、ダイエーホールディングコーポレーションとなっています。
その後多くの企業が持株会社化を行い、日本における大企業の多くが純粋持株会社の設立を完了していることも特徴的です。

ホールディングスのデメリットについて

もちろんメリットだけではなく、デメリットもあります。

一般企業の事業部であった場合と比較すると、登記上別会社となりますので横の連携に関しての柔軟性が低下することや、純粋持株会社である会社が子会社である実質的な営業利益を確保している企業と比較して信用リスクが大きくなるという格付けのねじれ現象、また労働者側においては労使交渉の母体が不明確になるという点も挙げられます。

戦後の財閥解体によって進められた経済システムも、持株会社化によって有名無実化してしまうという一面もあり、一部の巨大企業に利益が集中するという富の偏重を引き起こすことも指摘されています。

ホールディングスの設立には、株式をどのようにして親会社に移転するのかによって幾つかの方式に分類することができます。
主に上位の会社に株式を移す株式移動方式による方法と、株式交換完全親会社とする方法があります。

まとめ

また純粋持株会社を設立する方法として多いのが抜け殻方法と呼ばれる、会社の事業部分を別会社に完全に移管する方法もあります。
日本の持株会社は、上記の2つの方法によって設立されているものがほとんどとなっています。

最終更新日 2025年4月29日 by rwcollec